歯科衛生士におすすめのゴム手袋を紹介|選び方や正しい着脱方法も

歯科衛生士におすすめのゴム手袋を紹介|選び方や正しい着脱方法も

歯科診療の補助や歯科予防処置、歯磨き指導など、口腔の健康をサポートする重要な仕事を行う歯科衛生士は、歯科医院だけではなく訪問ケアや学校での指導などさまざまな場で業務にあたります。

歯科衛生士の仕事を行う際に必要なのが、ゴム手袋です。歯科衛生士を感染や汚染から守るのはもちろん、患者さんの衛生面や安全面を確保するためにも欠かせないものです。

今回は、歯科衛生士におすすめのゴム手袋について詳しく解説します。選び方や正しい着脱方法についても紹介しているのでぜひ参考にしてください。

歯科医院で多く採用されているゴム手袋

歯科医院では、歯科医師をはじめ歯科衛生士やスタッフなど診療に関わる全員が手袋を装着します。患者さんの口腔内を検査、治療するため、感染予防や衛生管理の面から安全に使用できる手袋が必要です。

使い捨てのゴム手袋の中から、ラテックス手袋とニトリル手袋の2種類を紹介します。

ラテックス手袋

天然ゴムのラテックスを原料として作られているラテックス手袋は、丈夫で伸縮性に優れていて長時間の作業にも対応できるため、歯科衛生士の仕事に適しています。

また、油や薬品に対する耐性は低めですが、手指に密着して装着できるので、歯科診療の補助や歯科予防処置などの細かい作業をする場面でも装着による疲れが軽減可能なゴム手袋です。

ラテックス手袋は、加工法によって2つの種類があります。1つは手袋を塩素液に浸して塩素処理を施して作ったもの、もう1つは手袋の内側をポリマー溶液に浸してポリマー層を作り、ポリマーコーティング処理して作られた手袋です。

処理の仕方によって、ラテックス手袋を装着した際の感触が異なり、塩素処理したラテックス手袋は乾いた感触で着脱がスムーズ、ポリマーコーティング処理したグローブは、しっとりしたテクスチャーとなっています。

ラテックス手袋は歯科衛生士の仕事に適していますが、ラテックスアレルギーのリスクがあることは注意すべき点です。ラテックスアレルギーは、ラテックス手袋の原料の天然ゴムに含まれるラテックスタンパク質へ反応することで起こります。

ラテックスアレルギーとは

ラテックスアレルギーとは、天然ゴムのラテックスが皮膚や粘膜に付着することによって、ラテックスアレルギー反応が出ることです。人間の体がラテックスに含まれるたんぱく質に対して抗体を作ることで起こります。

ラテックスアレルギーは、ラテックスグローブを付けたときだけではなく、天然ゴム製品に残っているたんぱく質が皮膚に付着する汗や水分などと混ざり、製品から溶け出して皮膚や粘膜に付着することなどでも反応します。

また、使い捨てのゴム手袋には、手の滑りをよくして着脱しやすくするために手袋の内側にパウダーが塗られているものがあります。このパウダーに多くのラテックスアレルゲンが吸着され、ゴム手袋を外すときに飛散したアレルゲンを吸い込むことで鼻の粘膜などから入ってしまい、反応が起きることも少なくありません。

ラテックスアレルギーになると、かゆみ、赤み、蕁麻疹などの症状が出ます。重症化した場合は、血圧低下や意識障害などの重篤なアナフィラキシーショックを引き起こすこともあるため注意が必要です。

ラテックスアレルギーの方は食べ物にも注意

ラテックスアレルギーを持つ方は、ゴム手袋以外にも特定の野菜や果物にも気をつけなければいけません。

ラテックス・スフルーツ症候群と呼ばれるもので、ラテックスアレルギーの方が特定の果物を食べた際に、口の中に蕁麻疹が出るなどラテックスアレルギーと同様の反応が起こることをいいます。

これは、ラテックスに含まれるタンパク質と数種類の果物に含まれるタンパク質が似ているために、免疫系が果物をラテックスと思いアレルギー反応を引き起こしてしまうためです。

特に気をつけたい果物は、アボカド・バナナ・キウイフルーツ・クリです。ラテックスアレルギーは、一度症状が出てしまうと体内に抗体ができてしまい、一生の対策をしなければいけません。

ニトリル手袋

ニトリル手袋もゴム手袋の一種ですが、原料は天然ゴムではなく石油系の合成ゴムまたは人工ゴムのニトリルゴムが使われています。

ニトリル手袋は国内ではほとんど生産されておらず、主に東南アジアや中国などで製造された商品を輸入しています。ニトリル手袋もラテックス手袋と同様に耐久性と伸縮性に優れているため、歯科衛生士の仕事にも適したゴム手袋といえるでしょう。

さらに、ニトリル手袋は薬剤や油脂への耐性があるため、薬剤を使った歯科診療にも安心して使えます。ニトリル手袋のもっとも大きな特徴は、ラテックスアレルギーの心配がないことです。

原料が合成ゴムや人工ゴムなので、ラテックスアレルギーの歯科衛生士や患者さんに対しても安心して使えます。ニトリル手袋には、パウダーありとパウダーなしの2つの種類があります。

パウダーありのニトリル手袋

パウダーありのニトリル手袋とは、装着しやすいように手袋の内側にトウモロコシデンプンの粉を施したものです。

粉によって滑りが良くなるため、使い捨て手袋を頻繁に交換しなければいけない歯科衛生士の仕事にも適しています。しかし、トウモロコシデンプンの粉は人によって皮膚トラブルを起こす可能性があります。

パウダーなしのニトリル手袋

パウダーを使わないニトリル手袋は、トウモロコシデンプンの粉の代わりに手袋の内側に塩素処理やポリマー加工などを施してあります。粉を使わなくてもパウダーありの手袋と同様にスムーズな着脱が可能となっており、使用した感触もほとんどぼ同じです。

パウダーを使っていないため、トウモロコシデンプンによるアレルギーや肌トラブルの心配がない点が大きな特徴といえるでしょう。

厚生労働省ではパウダーありの使い捨て手袋のリスクを考慮して、2016年からパウダーフリーの手袋を推奨するようになりました。これを受けて、ハッピーハンズでは、2016年のこの発表以降パウダーなしの手袋のみを販売しています。

歯科衛生士におすすめのゴム手袋

歯科衛生士におすすめのゴム手袋は、次のようなものです。

  • ラテックスフリーのゴム手袋
  • パウダーなしのゴム手袋
  • 耐久性があるゴム手袋
  • 伸縮性があるゴム手袋
  • 耐薬品性があるゴム手袋

ラテックスアレルギーは、頻繁にラテックスタンパク質に触れる機会のある方やアトピー性皮膚炎や乾燥肌など肌が敏感でバリア機能が低下している方などは起こりやすいため、日頃から気をつける必要があります。

一度、アレルギーを発症してしまうと治ることはないので、今までラテックスで反応が起こらなかった方でもゴム手袋を使用する機会が多い場合はなるべく避けた方がよいでしょう。

また、厚生労働省が推奨するようにパウダーありの手袋もなるべく使わないようにすべきです。パウダーフリーのゴム手袋がおすすめです。さらに、歯科衛生士の業務を支障なく行うために、耐久性のあるものや伸縮性、耐薬品性のあるものが適しています。

歯科衛生士にニトリル手袋が選ばれる理由

多くの歯科衛生士が選ぶゴム手袋は、ニトリル手袋です。ニトリル手袋は、耐久性や伸縮性に優れているうえ、原料が合成ゴムや人工ゴムを使っているため、ラテックスアレルギーを持つ方でも安心して使えます。

耐久性・伸縮性に優れている

ニトリル手袋は耐久性が高く、長時間の使用や摩擦にも耐えられます。歯科衛生士の仕事は、患者さんの口腔内の健康サポートです。また、歯科医師の手術や診察の補助を行うことも多いため、丈夫なゴム手袋が必要です。

耐久性のないグローブを使うとすぐ破れたり破損したりする可能性があり、取り替える手間がかかるだけではなく感染のリスクが高まります。

また、ニトリル手袋は薄くて伸縮性があり柔らかく、手や指先に密着します。そのため、指先の感覚を維持でき、細かい作業も集中して行える点も、歯科衛生士に適しているといえるでしょう。

耐油性・耐薬品性がある

ニトリル手袋には、耐油性と耐薬品性もあります。そのため、薬品を使いながら検査や診察などを行う歯科衛生士の仕事にも適しているでしょう。

また、ニトリル手袋は、薬品や洗剤にも強いという特徴があります。そのため、薬剤を用いた検査や診療を行う歯科衛生士向けのゴム手袋です。歯科治療の現場では、衛生管理を徹底して行う必要があるため、強い洗剤を使うことも少なくありません。

ニトリル手袋は単なる耐久性の高さだけではなく、耐油性・耐薬品性もあるため、歯科衛生士だけではなく、食品加工業界や油を使う工場など幅広い業界でも使われています。

耐突刺性がある

ニトリル手袋は、耐突刺性がある点も特徴です。鋭利な器具などによる突き刺しに対する強さがあるため、使用していて破れにくいのが大きなメリットです。歯科衛生士の仕事では、 細い先端の器具や機材を使った作業も頻繁にあります。

患者さんの口腔内に触れながら作業するため、耐突刺性に弱い手袋ではほんの軽い接触で破れてしまい、何度も手袋を変えなければいけません。耐突刺性の高いニトリル手袋なら、手指へのダメージを心配せず安心して業務にあたれます。

ラテックスアレルギーの心配がない

ニトリル手袋なら、ラテックスアレルギーの心配をせずに使えます。ラテックスグローブは耐久性や伸縮性に優れていますが、ラテックスアレルギーを持つ方は使えません。歯科衛生士だけではなく、患者さんがラテックスアレルギーの場合も同様です。

ラテックスアレルギーが重症化した場合は、アナフィラキシーショックを起こす可能性もあるため、日頃からアレルギーに対する管理を行う必要があります。どんな患者さんに対しても安心して使えるのはニトリル手袋です。

それぞれの歯科衛生士に合うゴム手袋の選び方


歯科衛生士に合うゴム手袋の選び方を紹介します。使いやすさやアレルギー対策などはもちろんですが、ゴム手袋を装着したときのフィット感や作業のやりやすさなどはそれぞれ好みによって異なります。

自分に合うゴム手袋を見つけるためにも、手に合うものを選ぶようにしましょう。

正しいサイズを選ぶ

歯科衛生士の仕事は、鋭利な機器を使ったり細かい作業をしたりと、ゴム手袋をしていても手や指先を思う通りに動かせることが重要になります。

そのため、自分の手に合うサイズのゴム手袋を選ぶことが大切です。サイズが大きいと脱げやすい、手が滑りやすいなど、作業に支障をきたすこともあります。また、サイズが小さいと着脱しにくい、手や指が動かしにくいなどの不便さを感じるだけではなく、ゴム手袋が破けてしまったり破損する可能性もあります。

ニトリル手袋をはじめとしたゴム手袋のサイズには、XS、S、M、Lなどが細かく分かれているため自分の手にぴったり合う手袋を選びましょう。

また、使い捨てゴム手袋には、サイズの表記のほか「全長」「手の甲(手の平)」「中指の長さ」が記されているので、実際に自分の手の全長・手の甲(手の平・中指の長さを測ってより手に合うサイズを選ぶのもおすすめです。

また、ゴム手袋の厚みにも種類があるため、作業によって厚さも選べます。ハッピーハンズのカタログでは、Mサイズを基準とし、1枚の厚さから手袋の厚みを「厚手」「レギュラータイプ」「薄手」の3段階に分けています。カタログには、指先の厚さも数値で記載しております。

着脱しやすいものを選ぶ

歯科衛生士は、感染対策や衛生管理の観点から、患者さんごとに、また治療の都度にゴム手袋を取り替える必要があります。そのため、着脱しやすいゴム手袋が使いやすいでしょう。

ニトリル手袋には、パウダーありとパウダーなしのものがあり、パウダーありなら滑りがよく着脱しやすいですが、粉による肌トラブルが心配です。

パウダーなしのニトリル手袋でも着脱しやすい工夫がしてあるものなら、アレルギーや肌トラブルの心配なく着脱もスムーズに行えます。ハッピーハンズのニトリル手袋は、すべてパウダーなしです。

刺激の少ないものを選ぶ

歯科衛生士の仕事は、業務にあたっている間はほとんどゴム手袋をしているといってもよいでしょう。そのため、ラテックスアレルギーはもちろんですが、そのほかの刺激の少ないゴム手袋を選ぶ方が肌への負担を減らせます。

ニトリル手袋ならラテックスアレルギーの心配はありませんが、種類によってはニトリル手袋を製造する際に加硫促進剤という化学物質が使われているものがあります。

この加硫促進剤によってアレルギー性皮膚炎を起こす場合があるため、肌が弱い方や以前ニトリル手袋を使って肌に異変を感じた方は、加硫促進剤不使用のニトリル手袋を選ぶ方が安心です。

ハッピーハンズでは、加硫促進剤不使用の手袋も販売しております。また、すべての手袋のサンプルを用意いたしておりますので、お気軽にお問合せください。

歯科衛生士の安全性を高めるための正しいゴム手袋の着脱方法

ゴム手袋の正しい着脱方法をご紹介します。安全性を確保しながら効率的に患者さんに対応するためにもぜひ再確認しておきましょう。

ゴム手袋を付けるとき

  1. 最初に手洗いと消毒を行いましょう
  2. 手袋の手首の部分をつかんで片方の手にはめます
  3. 反対の手も同じようにして手袋をはめてください

ゴム手袋を外すとき

  1. 片方の手袋の袖口をつかんで手袋が裏表逆さになるようにして外しましょう
  2. 外した手袋をもう片方の手で握ります
  3. 手袋を外した方の手の指を反対の手袋の袖口に差し込んで裏表逆さになるようにして手袋を外してください
  4. 手袋を捨ててから手洗いと消毒を行いましょう

ゴム手袋を付ける前と外した後は、必ず手洗いと消毒を行ってください。また、新しいゴム手袋を使う際でも、穴あきや破損がないか確認してから付けましょう。一度でも使ったゴム手袋は汚染しています。捨てた後は触れないように気をつけましょう。

ゴム手袋は歯科衛生士の仕事には必須|自分に合うものを選んで

歯科衛生士の仕事には、使い捨てのゴム手袋は欠かせません。長時間使うものだからこそ、サイズはもちろん肌に合うものを選びましょう。

肌が弱い方やラテックスアレルギーを持つ方は、ニトリル手袋がおすすめです。ニトリル手袋の中でもパウダーなしのグローブかつ、加硫促進剤不使用のものなら、より肌への刺激は少なくて済みます。

サンプルを取り寄せられる場合は、サンプルを試してみてからもっとも使いやすいものを選ぶとよいでしょう。

グローブの商品一覧はこちら

【グローブの商品一覧】をご確認いただく方へ

グローブ商品一覧の上部にて「ラテックス」「ニトリル」など商品を絞って調べられるリンクがありますので、ぜひご活用ください。

また、サイト内ではグローブの1ページ目の写真にて素材の記載があります。写真左上に四角いアイコンで「ラテックス(紫のアイコン)」「ニトリル(グリーンのアイコン)」と表記しておりますのでご参考になさってください。