衛生管理や安全性を保つうえで、使い捨て手袋はさまざまな現場で欠かせないアイテムです。中でもラテックス手袋は、天然ゴム由来の柔らかさと作業性の高さから、多くの業種で活用されています。
本記事では、ラテックス手袋の素材や特長、使用する際の注意点に加え、ラテックス以外の手袋素材との違いについてもわかりやすくご紹介します。手袋選びで迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

著者紹介
歯科医院・病院用衛生用品を1つから購入できる通販サイト「HAPPY HANDS(ハッピーハンズ)」です。歯科医院などで使用される使い捨て手袋やマスク、その他の衛生用品をさまざま販売しています。
ハッピーハンズのラテックスグローブは、ラテックスアレルギーの原因となる「プロテイン」を極力抑える仕様として【プロテイン含有量を50μg以下】という条件でグローブを製造しています。
ラテックス手袋とは?

ラテックス手袋は、天然のゴムの樹から採取された樹液(ラテックス)を原材料として加工された使い捨て手袋です。
ラテックス手袋の多くは、原料供給国でもある東南アジアで製造されており、特にマレーシア、インドネシアやタイは天然ゴムの生産と加工体制が整っていることから、世界的にも主要な供給拠点として知られています。
ラテックス手袋は柔軟性と伸縮性に優れた素材で、細かな作業や長時間の装着にも適しており、作業中の手への負担を軽減しやすいとされています。また、ラテックスは伸びがよく、手にやさしくなじむため、装着時の違和感が少ないという特長があります。
さらに、表面にグリップ加工を施す際には、ラテックス素材ならではの高い密着性を活かして、滑りにくさを高める加工がしやすいという利点もあります。こうした性質から、繊細な手の動きが求められる作業現場で幅広く活用されています。
パウダーありとパウダーフリーの2種類がある
ラテックス手袋やニトリル手袋には、「パウダー付き」と「パウダーフリー(粉なし)」の2種類があります。
パウダー付きのタイプは、手袋の内側にトウモロコシ由来のデンプンなどを使用し、手が湿っている場合や長時間の使用後でもスムーズに着脱しやすいのが特長です。
それに対して、パウダーフリーの手袋には塩素処理やポリマーコーティングなどが施されており、粉を使わずに着脱のしやすさを実現しています。
なお、厚生労働省は2016年12月、「パウダーが付いていない医療用手袋への供給切替えを促す」と発表しております。その背景として、米国食品医薬品局(FDA)が、医療用手袋に付いているパウダー(コーンスターチ等)が安全性上のリスク要因になりうるとして、平成29年1月18日より、パウダー付き医療用手袋の流通を差し止める措置をとることを発表しました。
これを受け日本でもパウダーフリー手袋への供給切替えの強化に取組むと発表しております。ハッピーハンズではこれを受け、以降すべてパウダーなしの手袋を取り扱っています。
ラテックス手袋の特性と用途

ラテックス手袋は、天然ゴムの特性を活かして作られた使い捨て手袋で、柔軟性と伸縮性に優れている点が特長です。
やわらかく手になじむため、装着時の違和感が少なく、作業中の負担を軽減しやすいとされています。また、低温下でも素材が硬くなりにくく、寒い場所での使用においても、装着感や操作性を保ちやすいという利点があります。
さらに、グリップ力にも配慮されており、手袋を装着したままでも物をしっかり保持しやすく、滑りやすい器具や素材を扱う場面でも安心して使用でき、グリップなしのラテックス手袋を使用されたい場合は”二重塩素処理済み”の手袋と使用用途に合わせて選択も出来ます。
これらの特性を活かし、ラテックス手袋は幅広い分野で使用されています。たとえば、医療や介護といった衛生管理が求められる現場のほか、清掃作業など、手指の保護と衛生を両立したい作業に多く採用されています。
ラテックス手袋はラテックスアレルギーに注意

ラテックス手袋を使用するうえで注意したいのが、天然ゴムに含まれるたんぱく質によるアレルギー反応です。
体質によっては、手袋を装着した際に皮膚の赤みやかゆみ、湿疹といった症状が現れることがあり、これまで問題なく使用していた方でも突然発症するケースがあります。また、まれにではありますが、ラテックスアレルギーにより「アナフィラキシーショック」と呼ばれる重篤な症状を引き起こすことも報告されています。
これは血圧の低下や息苦しさ、意識障害などを伴う全身的な過敏反応であり、迅速な医療対応が必要となる場合もあります。そのため、ラテックス手袋を使用する前には、ご自身のアレルギー歴を確認しておくことが大切です。
もし装着中に違和感を覚えたり、皮膚の異常や体調の変化を感じた場合には、すぐに使用を中止し、必要に応じて医師の診察を受けてください。
ラテックス手袋を選ぶ際に押さえておきたいポイント

ラテックス手袋を選ぶときには、用途や素材の特性をよく理解し、自分に合った製品を見極めることが重要です。ここでは、ラテックス手袋を選ぶ際に押さえておきたいポイントを4つ解説します。
使用目的に合っているかを確認する
先述した通り、ラテックス手袋は柔軟性や操作性に配慮された素材で、手にやさしくなじみやすく、細かい作業や長時間の使用に適しています。そのため、医療や介護、清掃など、手指の繊細な動きが求められる作業現場で多く活用されています。
一方で、ラテックス素材は油分や一部薬品との相性に注意が必要な場合もあるため、使用環境に応じて適切な素材かどうかを確認したうえで選びましょう。
ラテックスアレルギーの有無
天然ゴムに含まれるたんぱく質が原因となり、ラテックスアレルギーを引き起こすことがあります。
既にラテックスアレルギーのある方はラテックス以外の素材を検討することも一つの方法です。ラテックスアレルギーの心配がある方には、ニトリル手袋などが代替として選ばれることがあります。
パウダーフリータイプを選ぶ
パウダー付きのラテックス手袋は、手袋の内側に粉が施されており、着脱がしやすいという利点があります。特に手が湿っている状態や、長時間の作業後でも装着しやすい点が特長です。
しかし、人によっては、このパウダーが肌への刺激となり、手荒れの原因になることがあります。また先述した通りパウダーが安全性上のリスク要因となりうるという観点からしても、パウダーを使用していない「パウダーフリー」タイプのラテックス手袋がおすすめです。ハッピーハンズでは、すべてパウダーなしの手袋のみを取り扱っています。
自分の手に合ったサイズを選ぶ
手袋のサイズが合っていないと、破れやすくなったり、疲労感を覚えるなど、操作性が落ちたりすることがあります。手に合ったサイズを選ぶには、手のひらの幅を基準に測るとわかりやすく、親指を除いた4本の指の付け根から手のひらの端までの幅が目安となります。
サンプルを取り寄せて装着感が緩すぎたり、きつすぎたりしないかを試してから購入するようにしましょう。ハッピーハンズではすべてのグローブのサンプルを用意いたしております。お気軽にお問合せください。
ラテックス以外の素材を使った使い捨て手袋

使い捨て手袋には、ラテックス素材以外にもさまざまな種類があります。それぞれの素材には異なる特性があり、作業環境や使用目的に合わせて選ぶことが大切です。
ここでは、ニトリルやポリ塩化ビニルなど、ラテックス以外の素材を使った手袋を5つご紹介します。
ニトリル手袋
ニトリル手袋は、「合成ゴム」または「人工ゴム」を原料とした使い捨て手袋で、薬剤や油に対する耐性がある点が特長です。引っ張りや突き刺しに対する強さもあり、食品業界、介護や清掃、美容、製造現場など、幅広い用途で使用されています。
また、ラテックスを含まない素材であるため、ラテックスアレルギーへの配慮が求められる現場でも選ばれることが多くなっています。なお、肌への刺激が気になる方は、「加硫促進剤不使用」と記載された製品を確認するのがおすすめです。
PVC(ポリ塩化ビニル)手袋
PVC手袋は、ポリ塩化ビニルを主原料とした使い捨て手袋です。比較的着脱がしやすく、介護や清掃といった軽作業の現場で使用されることが多くあります。
作業時間が短く、手袋を頻繁に交換するような場面でも使いやすいため、コストと使用感のバランスを重視する場合に適しています。ただし、食品に直接触れる作業で使用する際は、可塑剤(かそざい)の種類やその含有有無を事前に確認することが大切です。
ポリエチレン手袋
ポリエチレン手袋は、軽量で扱いやすい使い捨て手袋として、さまざまな作業現場で使用されています。ゆったりとした形状で着脱しやすく、調理補助や食品の盛り付け、配膳作業など、短時間で頻繁に手袋を交換するような場面に適しています。
素材の特性上、フィット感や耐久性は他の素材に比べて限定的ですが、手軽に使用できる点が評価されています。用途に応じて使い分けることで、作業効率と衛生環境の維持に役立つアイテムです。
TPE手袋
TPE手袋は、熱可塑性(ねつかそせい)エラストマーという素材を用いた使い捨て手袋で、やわらかく手になじみやすい点が特長です。装着感に違和感が少なく、快適さと衛生管理の両立が求められる食品関連作業や介護、美容などの分野で活用が広がっています。
アレルゲンとなる成分を含まない素材が使用されていることから、使用者や接触対象への配慮が必要な場面でも取り入れられることが多くなっています。使い捨てでありながら、着脱のしやすさと取り扱いのしやすさを兼ね備えている点も魅力のひとつです。
EVA手袋
EVA手袋は、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂を用いた使い捨て手袋で、柔軟性がありつつ、環境への配慮も意識された素材です。
可塑剤を使用せず、素材自体が無毒性でリサイクル性もあるため、クリーンな印象が求められる食品や美容関連の現場で採用されるケースがあります。極端な温度環境には不向きな一面もありますが、使用感のやさしさと安全性を重視する用途で選ばれています。
ラテックス手袋は用途や目的に応じて適切なものを選ぼう

ラテックス手袋は、柔軟性やグリップ力に優れた使い捨て手袋として、さまざまな現場で活用されています。一方で、ラテックスアレルギーやパウダーによる刺激といった注意点もあるため、使用目的や肌質に合わせた適切な製品選びが重要です。
ハッピーハンズのラテックスグローブは、ラテックスアレルギーの原因となる「プロテイン」を極力抑える仕様として【プロテイン含有量を50μg以下】という条件でグローブを製造していますので、参考にされてください。
他にもニトリルやラテックス以外の素材にもそれぞれ特性があり、用途に応じた使い分けが求められます。手袋の特性を正しく理解し、快適で安全な作業環境を整えていきましょう。
グローブ商品一覧の上部にて「ラテックス」「ニトリル」など商品を絞って調べられるリンクがありますので、ぜひご活用ください。
また、サイト内ではグローブの1ページ目の写真にて素材の記載があります。写真左上に四角いアイコンで「ラテックス(紫のアイコン)」「ニトリル(グリーンのアイコン)」と表記しておりますのでご参考になさってください。