ニトリル・ラテックス手袋の違いや活用シーンを解説!各素材のメリット・デメリットも知ろう

ニトリル・ラテックス手袋の違いや活用シーンを解説!各素材のメリット・デメリットも知ろう

幅広い業界で使われる使い捨てゴム手袋には、主にニトリル手袋とラテックス手袋があります。それぞれ、メリットや特徴が異なるため、使用目的に合わせて選ぶべきです。

また、ラテックス手袋は、ラテックスアレルギーのリスクがあるというデメリットがありますが、ニトリル手袋でもアレルギーが起こる場合があるため注意が必要です。本記事では、ニトリル手袋とラテックス手袋の違いについて詳しく解説します。

ニトリル手袋とラテックス手袋の違い

ニトリル手袋とラテックス手袋の違いについて見ていきましょう。

ニトリル手袋

ニトリル手袋は、人工ゴムまたは石油系の合成ゴムであるニトリルゴムを原料とした作られた使い捨ての手袋です。日本での生産はほとんど行われておらず、主に中国や東南アジアなどで生産されています。

ニトリルゴムは、ブタジエンとアクリロニトリルの共重合によって合成された化学合成ポリマーです。特徴としては、耐久性が高いため長時間の使用にも強く、伸縮性があるため細かい作業にも適しています。また、耐薬品性にも優れているため、薬剤などを扱う医療関係でも安心して使用できます。

さらには、耐突刺性があることから歯医者などの細い先端を持つ器具を扱う場面でも活躍し、食品加工などの油を使うような場面でも耐油脂性があるため活用できます。

ラテックス手袋

ラテックス手袋は、原料に天然のゴムであるラテックスを使用しています。ラテックスは、ゴムの木から取れる乳液や界面活性剤で乳化させたモノマーを重合して得られる液体のことをいい、ゴムのコロイド状水分散物を指します。

ラテックスの樹液は非常に貴重なもので、1本の樹から3日に1度しか取れません。さらに1回の樹液採取からは、ラテックス手袋2枚分しか作れません。

ラテックスは柔軟性や伸縮性、耐久性に優れています。細かい作業での使用や長時間の装着でも疲れにくく、伸びが良いため手に馴染みやすく、装着した時に違和感を感じにくい特徴があります。また、低温下でも素材自体が硬くなりにくいため、寒い環境でも操作性を保てる点も強みです。

表面にグリップ加工を施す際に滑りにくさを高める加工がしやすいため、滑りやすいものを扱う場面でも活躍します。ちなみにグリップなしの手袋もあり、その場合は”二重塩素処理済み”という手袋を選びましょう。使用用途に合わせてグリップ力のあり・なしが選べて、使い分けができます。

ニトリル・ラテックス手袋に共通するパウダーについて

ラテックス手袋やニトリル手袋には、パウダーありとパウダーなしの2つのタイプがあります。パウダーありの手袋は、手袋の内側にトウモロコシデンプンの粉が施されています。このトウモロコシデンプンの粉は、手袋を装着しやすくするために付けられているものです。

パウダーなしのニトリル手袋は、トウモロコシデンプンの粉の代わりに塩素加工やポリマー加工などを内側に施してあります。そのため、パウダーなしでもスムーズな着脱が可能で、パウダーありとほぼ同様の使いやすさが保たれています。

パウダーありの手袋を使用すると、トウモロコシデンプンの粉によって皮膚の乾燥やかゆみなどの肌トラブルが起こったり、粉が飛散して作業環境を汚染する可能性もあります。

厚生労働省では、パウダーによる人体へのリスクや影響を考え、2016年からパウダーフリーの手袋を推奨するようになりました。ハッピーハンズでは、2016年のこの発表以降は、すべてパウダーなしの手袋のみを販売しています。

ニトリル手袋とラテックス手袋の特徴と適した用途

ニトリル手袋とラテックス手袋の具体的な特徴を詳しく紹介します。


特徴

適した用途

ニトリル手袋

・合成ゴムまたは人工ゴムが原料

・耐油性や耐薬品性、耐突刺性に優れている

・ラテックスアレルギーの心配がない

検査・検診、油作業、科学実験、食品製造・加工、清掃、

ラテックス手袋

・天然ゴムのラテックスが原料

・柔軟性と高い耐久性がある

・フィット感がある

・化学物質に対して強い

・人によってはラテックスアレルギーが起こる

検査・検診、食品製造・加工、清掃

ラテックスアレルギーについて

ラテックス手袋の天然ゴムは、人によってはラテックスアレルギーを起こす原因となります。ラテックスアレルギーは、天然ゴムに含まれるたんぱく質への抗体を人間の体が作ろうとする過程で起こります。

ラテックスが皮膚についた場合だけではなく、水分や汗によってゴムの成分が溶け出して皮膚に触れてしまったときにアレルギー反応が出ることもあるため、ラテックス手袋を使う際は十分な配慮が必要です。

ラテックスアレルギーになると、皮膚のかゆみや赤み、蕁麻疹などの症状が現れます。さらに、重症化した場合は、血圧低下や呼吸困難、意識障害などの重篤な症状のアナフィラキシーショックを引き起こすこともあります。

ニトリル手袋ならアレルギーが起こらないとは限らない

ニトリル手袋の大きなメリットとして、ラテックスアレルギーの心配がない点があげられます。ラテックスアレルギーは、一度起こってしまうと基本ラテックスグローブの使用を控えた方が良く、仕事で手袋を装着しなければいけない場合は、対策を取らなければいけません。

ニトリル手袋はラテックスアレルギーの人も使える使い捨て手袋ですが、ニトリル手袋を選べばすべてのアレルギーを回避できるわけではなく、ニトリル手袋によって、アレルギー反応が起こることもあることは知っておくべきでしょう。

ニトリル手袋によるアレルギー性接触皮膚炎とは

ニトリル手袋を使用したことで、アレルギー性接触皮膚炎が起こる場合があります。アレルギー性接触皮膚炎とは、特定の物質に接したことで起こるアレルギー反応です。特定の物質に触れた部分に、かゆみや赤み、腫れ、ヒリヒリ感、水ぶくれなどが現れます。

また、アレルギー性接触皮膚炎のほかにも、刺激性接触皮膚炎が起こることもあります。刺激性接触皮膚炎とは、皮膚に触れた物質が直接皮膚細胞を刺激して炎症を起こすことです。アレルギーとは異なり、誰にでも起こりうるものです。

アレルギー性接触皮膚炎と刺激性接触皮膚炎の区別は、自分で判断するのは難しいため、ニトリル手袋を使用して肌トラブルが起こった場合は、皮膚科の専門医の診察を受け、どの成分が原因で起こっているのか診断してもらうことが大切です。

ニトリル手袋に使われるアレルギーの原因となりうる物質

ニトリル手袋に使われる物質で、アレルギーの原因となりうるものはいくつかあります。詳しく見ていきましょう。

加硫促進剤

加硫促進剤は、手袋の伸縮性を保つためにニトリル手袋やラテックス手袋を製造する際に使われる成分です。加硫促進剤の化学反応を用いて使い捨て手袋を生産します。

加硫促進剤に対してアレルギー反応を起こす場合だけではなく、製造過程で使われているそのほかの化学物質との組み合わせによってアレルギー反応を起こす場合もあるため、注意が必要です。

また、加硫促進剤に含まれるチラウム系やジチオカルバメート系、チアゾール系の物質が原因で肌トラブルを引き起こすケースもあります。

可塑剤

可塑剤(かそざい)とは、酸とアルコールで合成される物質で、主にプラスチックを柔らかくして加工をしやすくするために使われるものです。

可塑剤はポリ塩化ビニル製品にもよく使われている添加物で、普段よく使う製品にも可塑剤が使われている可能性はあります。

使い捨てゴム手袋に可塑剤が使われている場合、人によっては接触アレルギー性皮膚炎 (IV 型)を起こすことがあります。ニトリル手袋を使用して手がかゆくなってしまった場合、可塑剤が原因かもしれません。

熱安定剤

ニトリル手袋だけではなく使い捨て手袋には、熱安定剤が使われています。熱安定剤とは、高温の状況下でも使用できるよう製品を加工するために使われるもので、酸化防止剤の一種です。

使い捨て手袋だけではなく、製品の耐熱性や性能を高めるためにさまざまなものに熱安定剤は使われています。

ニトリル手袋の熱安定剤が原因で、手湿疹を起こす場合があります。ニトリル手袋を使用して、手かゆみや痛み、赤みが出る場合は、湿疹ができていないかを確認してみましょう。

ニトリル手袋の使い方が原因で肌トラブルが起こることも

ニトリル手袋に使われている成分や薬剤が原因で、アレルギーや肌トラブルが起こるだけではなく、使い捨て手袋の使い方が原因で手や皮膚にトラブルが起こる可能性もあります。

たとえば、サイズがあっていない小さいニトリル手袋を使用し続けた場合、皮膚の圧迫や肌の擦れなどによって不快感や動かしづらさが出る以外にも、炎症を起こす場合があるので気をつけましょう。

また、ニトリル手袋を長時間装着していると、手袋の中が蒸れやすい状態になり、ヒスタミンが放出されることがあります。手袋の中で汗をかくため、汗に含まれる塩分やアンモニアによってかゆみが生じることもあります。

ニトリル手袋でアレルギー反応が出た場合の対応策

ニトリル手袋を使用して、かゆみや赤みなどアレルギー症状のようなものが出た場合の対応策について説明します。

ニトリル手袋を装着した後で、肌トラブルが起こった場合は、ニトリル手袋に使用されている成分や薬剤などが原因の可能性がありますが、自己判断で原因の特定はできません。

まずは、ニトリル手袋の使用を中止しましょう。また、使用した手袋は捨てずにとっておき、医療機関を受診する際は、使った手袋も一緒に持っていきましょう。

手が赤くなったからニトリルアレルギーというわけではなく、ちゃんと手荒れの原因がニトリルのアレルゲンなのかを知る必要があります。専門の医師の診断を受けた上で、何が肌に対して刺激を与えているのかを見極めましょう。

肌トラブルを回避|使い捨て手袋の選び方

多くの業界で、感染や汚染を防ぎ、衛生的な環境を保つために使い捨て手袋は使われています。業務内容によっては、就業中はずっと使い捨てゴム手袋を装着しなければいけないこともあるでしょう。

アレルギーというのは一度起こってしまうと、次から同じ物質に触れると、またアレルギー反応が出てしまいます。そのため、なるべくアレルギーの原因となる材料が含まれていない使い捨て手袋を選ばなければいけません。選び方について、詳しく紹介します。

ラテックスフリーの手袋を選ぶ

天然ゴムに対するラテックスアレルギーを避けるなら、ラテックスフリーの使い捨て手袋を選びましょう。ニトリル手袋なら、合成ゴムや人工ゴムを原料としているため、すでにラテックスアレルギーを持つ方でも使えます。

また、ニトリル手袋は、耐薬品性や耐油脂性に優れているうえ、耐突刺性も高いため、薬品や油を多く使う作業や、先端の鋭い機器を使った作業などにも適しています。

パウダフリーの手袋を選ぶ

パウダーフリーの使い捨て手袋なら、トウモロコシデンプンの粉による肌トラブルを防げます。

パウダーありの手袋で肌荒れする原因は、トウモロコシデンプンの粉に含まれるプロテインが、人の免疫システムで異物と認識されることで起こるものです。また、使用されているトウモロコシデンプンが、遺伝子組み換えトウモロコシであった場合、そのアレルギー反応の可能性も考えられるでしょう。

すでに厚生労働省によって、パウダーフリーの使い捨て手袋が推奨されていることもあり、近年はパウダーありの使い捨て手袋よりもパウダーフリーのものが主流になってきました。

しかし、中にはパウダーありの使い捨て手袋もあるため、肌への刺激を抑えるならなるべくパウダーフリーと明記されている使い捨て手袋を選ぶようにしましょう。

加硫促進剤フリーの手袋を選ぶ

ニトリル手袋の加硫促進剤が原因で肌にかゆみや赤みが出る場合は、加硫促進剤フリーのニトリル手袋を選ぶとよいでしょう。加硫促進剤アレルギーになると、接触した肌の部位に湿疹やかゆみ、赤みなどの症状が現れます。

加硫促進剤のアレルギー反応は遅発性です。そのため、ニトリル手袋を着用しているときに症状が出るのではなく、手袋を外してしばらくした後に症状が現れることも少なくありません。

手袋による皮膚炎が起こった場合、症状に合わせて頻繁に手袋を切り替える手袋のホッピング行為は、加硫促進剤のアレルギーのような遅発性アレルギー反応を見逃してしまう可能性があることも覚えておきましょう。

パッチテストを行う

事前に、使い捨て手袋に使われる成分に関してパッチテストを行うことも有効です。パッチテストとは、アレルギーの原因となる物質を特定するための検査方法で、皮膚に原因物質と思われるものを接触させて反応を観察することで、アレルギーの有無を調べるものです。

疑われるアレルゲンを腕や背中などの皮膚に貼って、48時間後、72時間後、1週間後など、一定の間隔で皮膚反応を見ます。手袋を使う前にアレルゲンを特定できれば、その物質を含まない使い捨て手袋を選べます。ハッピーハンズでは、特定の原材料を避けた手袋をご案内できます。

ちょうどいいサイズの手袋を選ぶ

自分の手のサイズに合った手袋を選ぶことも大切です。小さすぎる使い捨て手袋は、皮膚を圧迫するため肌荒れの原因になります。逆にサイズが大きすぎると、手と手袋の隙間から水分や薬品が侵入するだけではなく、感染や汚染を広げるリスクが高まります。

使い捨て手袋のサイズは、XSからLまで幅広く揃っています。また、使い捨て手袋には、「全長」「手の甲(手のひら)の幅」「中指の長さ」の表記もあるため、事前に自分の手の「全長」「手の甲の幅」「中指の長さ」を測ってもっとも近いサイズを選ぶのもよいでしょう。

可能であればサンプルを取り寄せて、実際に装着してみるのがおすすめです。ハッピーハンズでは、すべての製品のサンプルをご用意しています。お気軽にお問い合わせください。

ニトリル手袋かラテックス手袋かは用途だけではなくアレルギーも考慮して選ぼう

使い捨てゴム手袋は、主にニトリル手袋とラテックス手袋があります。どちらもそれぞれ特徴があり、使用目的に合わせて選べますが、日常的に作業するうえで使い捨て手袋を使用する場合は、アレルギーに対しても考慮して選ぶ方が安心でしょう。

ニトリル手袋なら、ラテックスアレルギーの心配はありません。しかし、ニトリル手袋を装着して、アレルギー反応が出る場合もあるため、絶対に安心とは言い切れません。特定の原材料を避けた使い捨て手袋を選ぶとよいでしょう。

ハッピーハンズには、さまざまな方に対応できる使い捨て手袋を多数ご用意しています。また、どの手袋もサンプルを提供していますので、ぜひお気軽にご相談ください。

グローブの商品一覧はこちら

【グローブの商品一覧】をご確認いただく方へ

グローブ商品一覧の上部にて「ラテックス」「ニトリル」など商品を絞って調べられるリンクがありますので、ぜひご活用ください。

また、サイト内ではグローブの1ページ目の写真にて素材の記載があります。写真左上に四角いアイコンで「ラテックス(紫のアイコン)」「ニトリル(グリーンのアイコン)」と表記しておりますのでご参考になさってください。