ニトリル手袋とは使い捨て手袋の一種であり、医療現場や食品業界など様々な業界で使われています。また、手にしっかりとフィットして耐久性も高いことから、細かい作業の多い歯科医療現場で使う手袋としても最適です。
本記事では、ニトリル手袋の特徴や選び方、歯科診療に向いている理由などを徹底解説します。歯科診療において、どの使い捨て手袋を使うべきか迷っている方は、ぜひ最後までご覧ください。

著者紹介
歯科医院・病院用衛生用品を1つから購入できる通販サイト「HAPPY HANDS(ハッピーハンズ)」です。歯科医院などで使用される使い捨て手袋やマスク、その他の衛生用品をさまざま販売しています。
今回はニトリル手袋の特徴や手袋の正しい選び方などについて解説します。
ニトリル手袋とは?

ニトリル手袋とは、石油系の合成ゴムまたは人工ゴムである「ニトリルゴム」が原料の使い捨て手袋です。ニトリル手袋は国内生産がほとんど行われておらず、主に東南アジア・中国などから輸入されています。
強度が高く伸縮性があり、しっかりと手にフィットするため、素手と同じ感覚で使えます。
ニトリル手袋には「粉付き」と「粉なし」の2種類がある
ニトリル手袋には「粉つき」と「粉なし」の2種類があります。粉つきのニトリル手袋は、手袋の内側に粉(トウモロコシデンプン)が施されています。
粉つきのニトリル手袋は、滑りが良く着脱がしやすい一方で、粉が原因となり皮膚の乾燥やかゆみを引き起こすこともあります。
2016年から厚生労働省はパウダーフリーを推奨するようになり、パウダーを使用した手袋の使用には、十分な注意が必要となっています。ハッピーハンズでは、2016年のこの発表以降、パウダーなしの手袋のみ販売しています。
ニトリル手袋が歯科用グローブに向いている理由
使い捨て手袋にはいくつか種類がありますが、そのなかでもニトリル手袋は歯科用グローブとして広く採用されています。
ここでは、なぜニトリル手袋が歯科用グローブに向いているのか、その理由について解説していきます。
手にフィットするので細かい作業がしやすい
ニトリル手袋は、薄手で手にしっかりとフィットするのが特徴です。歯科医療の現場では、患者さんの口腔内を触ったり、精密な機械を取り扱うシーンが多くあります。
ニトリル手袋は、素手に近い感覚で細かい作業がしやすいため、正確性が求められる歯科医療の現場に適しています。
薬剤や油脂に耐性がある
ニトリル手袋は、薬剤や油脂に耐性があるため、治療で薬剤を扱う歯科医療の現場に適しています。また、ニトリル手袋は耐久性や強度が高いことから、清掃の際に強い洗剤を使う場合も役立ちます。
耐突刺性が高い
歯科診療では、鋭利な歯科器具やプローブを使う機会が多くあります。耐久性が低く穴が空きやすい手袋を使ってしまうと、穴から細菌やウイルスが侵入するリスクがあります。
ニトリル手袋は耐突刺性が高いため、鋭利な器具による刺突や引裂きに対して優れた耐久性を持ち、細菌やウイルスの侵入を防げます。
ラテックスアレルギー対策にもなる
歯科医療現場で手袋を使用する際には、ラテックス(天然ゴム)アレルギーに注意しなければなりません。ラテックスアレルギーとは、天然ゴムに含まれる「ラテックスタンパク質」が原因のアレルギー反応です。
ラテックスアレルギーは、皮膚のかゆみや炎症、蕁麻疹だけでなく、重症化すると呼吸困難や意識障害、さらにはアナフィラキシーショックを引き起こす危険性があります。
ニトリル手袋はラテックスフリーの手袋であり、天然ゴムのラテックス成分を一切含んでいません。ニトリル手袋であれば、ラテックスアレルギーのスタッフでも問題なく使えますし、ラテックスアレルギーを持つ患者の診療も安心して行えます。
ニトリル手袋でも人によっては手荒れすることもある
ニトリル手袋の中には、加硫促進剤を含む製品があります。この加硫促進剤は、手袋の製造過程で原料を安定させるために使用される化学物質です。
加硫促進剤は化学物質なので、敏感肌の方やアレルギーを持つ方は、アレルギー反応や皮膚の過敏症を引き起こす可能性があります。
もし、加硫促進剤が原因でアレルギーや手荒れの症状が現れた場合は、加硫促進剤を使用していない手袋を選びましょう。ハッピーハンズでも加硫促進剤を含んでいないグローブを販売していますので、ぜひご覧ください。
ニトリル手袋以外の使い捨て手袋を紹介

使い捨て手袋には、ニトリル手袋以外にもいくつかの種類があります。ここでは、ニトリル手袋以外の使い捨て手袋を4つ紹介していきます。
それぞれの手袋の特徴や、ニトリル手袋との違いなどを確認してください。
ラテックス手袋
ラテックス手袋は、天然ゴムを原料とした手袋です。ラテックス手袋は強度があるだけでなく、伸縮性が高く指先にしっかりとフィットするため、精密な作業に適しています。
また、優れたグリップ力を持ち、滑りやすい素材の物でもしっかりと掴むことができます。
グリップなしのラテックスグローブを使用されたい場合は”二重塩素処理”済みのグローブを選定ください。天然ゴムに含まれる成分がラテックスアレルギーを引き起こす原因となるので、ラテックスアレルギーの方は注意が必要です。
プラスチック手袋
プラスチック手袋は、ビニール手袋やPVC手袋とも呼ばれています。
ニトリル手袋やラテックス手袋など、ゴム製の手袋よりは伸縮性が低いものの、介護現場・清掃時などに使われています。
汎用性が高いプラスチック手袋ですが、プラスチックを柔らかくする成分「可塑剤」が含まれているため、患者の口腔内を扱う歯科診療には向きません。
ポリエチレン手袋
ポリエチレン手袋は、最もリーズナブルな使い捨て手袋で、食品業界をはじめとする多くの分野で広く利用されています。
簡単に着脱できるので、食品の盛り付け作業や短時間の軽作業、頻繁に手袋を交換する必要がある作業に適しています。ただし、フィット感がないことや穴空きや破れに弱いため、歯科診療には向きません。
TPE手袋
TPE手袋とは、熱可塑性エラストマー(Thermoplastic Elastomer)の略称で、プラスチック手袋やポリエチレン手袋の特性をバランスよく備えています。
TPE手袋は、ニトリル手袋と比べると強度や耐熱性は低いものの、油・薬剤・洗剤に強くニトリル手袋の代替品として注目されています。
歯科診療で使うニトリル手袋の選び方

歯科診療用のニトリル手袋を選ぶ際には、サイズや着脱のしやすさなど、いくつかのポイントを抑える必要があります。
ここでは、歯科診療で使うニトリル手袋の選び方について解説します。自分の手や肌、現場の状況に最適な手袋を見つけて、作業効率を向上させましょう。
自分の手のサイズに合っているか
ニトリル手袋は、手の大きさに応じてSSからLL以上まで幅広いサイズが展開されています。自分の手より小さいサイズのものを選ぶと破れやすく、大きいサイズのものを選ぶと手袋がずれ落ちやすくなります。
ニトリル手袋を含む使い捨て手袋には、「全長」「手の甲(手のひら部分)」「中指の長さ」といったサイズ情報が記載されています。メジャーや定規で「手の全長」「手の甲の周囲」「中指の長さ」を測定し、手袋のサイズ情報と見比べて、最適なサイズ感のものを選びましょう。
ハッピーハンズではすべてのグローブのサンプルを用意いたしております。お気軽にお問合せください。
着脱のしやすさ
歯科医療現場では、短時間で何度も手袋を交換する場面があるので、着脱のしやすさは重要なポイントです。
粉つきのニトリル手袋は、滑りがよく着脱がしやすくなっています。しかし、脱ぐ際に粉が手袋や手につくことがあり、人によってはその粉が刺激になる可能性もあります。
最近では、粉なしでも着脱しやすいニトリル手袋が販売されていますので、粉に抵抗がある方は参考にしてください。ハッピーハンズのニトリルグローブは、全てパウダー無しです。
肌への優しさ
ニトリル手袋は、ラテックスフリーなのでラテックスアレルギーの心配はありません。しかし、ニトリル手袋には「加硫促進剤」という化学物質が含まれており、この物質が刺激となりアレルギー性皮膚炎を起こす恐れがあります。
肌が弱い方は、加硫促進剤が使用されていないニトリル手袋を選びましょう。また、先述したように手袋の滑りをよくするための粉が刺激や乾燥の原因となるので、心配な方は粉なしのニトリル手袋を選んでください。
ニトリル手袋の使い方
まず、ニトリル手袋は以下の手順で着用します。
- 手洗いと消毒を行う
- 手袋の手首の部分を掴んで手にはめる
- 反対の手も同じようにしてはめる
ニトリル手袋を脱ぐ際は、以下の手順を守りましょう。
- 片方の手袋の袖口を掴んで手袋が裏表逆になるようにして外す
- 外した手袋をもう片方の手で握る
- 手袋を外した方の手の指をもう片方の手袋の袖口に差し込んで裏表逆になるように外す
- 手袋を捨てて手洗いと消毒を行う
使用後のニトリル手袋は汚染されているので、捨てた後は触らないようにしてください。
ニトリル手袋を使う際の注意点
ニトリル手袋は耐久性が高いため、「繰り返し使えるのではないだろうか」と考える方もいるでしょう。
医療現場では、衛生面や感染予防の観点から、同じ患者であっても一つの処置が終わるごとに手袋を交換しなければなりません。また、手袋をつけるからと安心せず、手袋を着用する前後には必ず手洗いと手指の消毒を行うことが大切です。
効率的な歯科診療をしたいならニトリル手袋が最適!

ニトリル手袋は、ニトリルゴムを素材とした使い捨て手袋で、医療機器としても登録されており、さまざまな医療現場で広く利用されています。
軽くて手にフィットするニトリル手袋は、装着しても素に近い感覚で作業できるため、正確性が求められる歯科医療に適しています。また、ラテックスフリーなので、ラテックスアレルギーがある患者さんの診療でも問題なく使えます。
ニトリル手袋を活用し、効率的な歯科診療を行いましょう。
グローブ商品一覧の上部にて「ラテックス」「ニトリル」など商品を絞って調べられるリンクがありますので、ぜひご活用ください。
また、サイト内ではグローブの1ページ目の写真にて素材の記載があります。写真左上に四角いアイコンで「ラテックス(紫のアイコン)」「ニトリル(グリーンのアイコン)」と表記しておりますのでご参考になさってください。