ニトリル手袋と他の手袋の違いとは?エンボスやビニールなどのそれぞれの特徴について紹介

ニトリル手袋と他の手袋の違いとは?エンボスやビニールなどのそれぞれの特徴について紹介

使い捨て手袋には、ニトリル、ラテックス、ビニール、ポリエチレン、TPEなど、さまざまな素材があります。それぞれの素材には特性や適した使用環境があり、目的に合った手袋を選ぶことが大切です。

本記事では、特にニトリル手袋の特徴を中心に、他の素材との違いやエンボス加工の種類などについて詳しく紹介します。

ニトリル手袋とは?

ニトリル手袋は、「合成ゴム」または「人工ゴム」を原料とした使い捨て手袋で、幅広い業種で使用されています。ラテックス(天然ゴム)を使用していないため、ラテックスアレルギーの心配がないことも大きな特徴です。  

特に注目すべき点は、薬品に対する耐性があることです。アルコールや漂白剤をはじめとするさまざまな薬剤に強く、清掃業などの薬品を日常的に使用する環境でも安心して使うことができます。

また、耐突刺性にも優れており、鋭利な器具や工具を使用する作業でも破れにくく、安全性が求められる現場での使用に適しています。 

さらに、ニトリル手袋は油に対しても高い耐性を持っており、油脂を扱う食品加工の現場や、潤滑油を使用する機械整備の現場でも活躍します。耐薬品性・耐突刺性・耐油脂性という3つの強みにより、ニトリル手袋はさまざまな業界で重宝されている素材です。

ニトリル手袋はラテックスアレルギーフリー

ニトリル手袋は、天然ゴム(ラテックス)を使用していないことから、ラテックスアレルギーの心配がない点が特徴です。

ラテックスアレルギーとは、天然ゴムに含まれるたんぱく質に対する過敏反応のことで、皮膚の赤みやかゆみ、蕁麻疹などの症状を引き起こすことがあります。

ラテックスアレルギーのリスクを避けたい方や、ラテックスアレルギーの可能性があると医師の診断を受けた方は、ラテックスを使用していないニトリル手袋を選択するのがおすすめです。 

ニトリル手袋と他の手袋の違いは?

使い捨て手袋にはニトリルをはじめ、以下のような様々な素材があります。

  • ラテックス
  • ビニール
  • ポリエチレン
  • TPE

各素材にはそれぞれに異なる特徴があり、作業内容や用途に応じた選び分けが必要です。ここでは、ニトリル手袋と他の素材の手袋との違いについて、素材ごとの特性や使用上の注意点を踏まえて解説します。

ラテックス手袋の特徴

ラテックス手袋は天然ゴムを原料としており、伸縮性と柔軟性に優れているため、手指にしなやかにフィットし、細かな作業に向いています。耐久性やグリップ力もあり、作業のしやすさから幅広い業種で使用されています。

ニトリル手袋との大きな違いは、ラテックスアレルギーへの対応です。ラテックス手袋には天然ゴム由来のたんぱく質が含まれているため、ラテックスアレルギーを引き起こす可能性があります。

そのため、ラテックスアレルギーの心配がある場合は、ラテックスを使用していないニトリル手袋などが選ばれます。

ビニール手袋の特徴

ビニール手袋は、生地が薄めで手先の感覚を保ちやすいのが特徴です。油や薬品に対する一定の耐性があることから、美容業界をはじめとしたさまざまな業種で利用されています。

ただし、柔軟性や伸びが少なく、装着時にやや固さを感じることがあります。そのため、より柔らかく、しなやかな操作感を求める現場ではニトリル手袋やラテックス手袋のほうが適している場合もあります。

また、ビニール手袋を食品を扱う現場で使用する際には注意が必要です。多くのビニール手袋には、可塑剤(かそざい)として使用される「フタル酸エステル」が含まれていることがあり、これが食品に移行して人体に悪影響を及ぼす懸念があります。

そのため、食品に直接触れる調理や加工の現場では、食品衛生法に適合した手袋を選ぶことが重要です。

ポリエチレン手袋の特徴

ポリエチレン手袋は素材の特性上、手への密着度はあまり高くありませんが、着脱がしやすいため、頻繁に手袋を付け替える作業に適しています。

食品衛生法に適合している製品も多く、食品の盛り付けやスーパーマーケットのバックヤード業務などで広く使用されています。

ただし、強度は他の素材に比べて劣り、破れやすいため、作業内容に応じて適切に使い分けることが大切です。

TPE手袋の特徴

TPE手袋は、「熱可塑性(ねつかそせい)エラストマー」と呼ばれる素材で作られており、ビニール手袋とポリエチレン手袋の中間のような性質を持っています。

ビニール手袋ほどのフィット感や細かい作業への適性はありませんが、ポリエチレン手袋よりは伸縮性があり、比較的手の動きに追従しやすいのが特徴です。

価格と性能のバランスが取れているため、ニトリル手袋やビニール手袋の代替品としても活用されています。また、食品衛生法に適合した商品も多く、食品加工や軽作業など、幅広い現場で使用されています。

使い捨て手袋のエンボス加工について

使い捨て手袋に施されるエンボス加工とは、表面にある細かな凹凸のことを指します。加工の位置によって、以下4つの種類があります。

  • 内エンボス加工
  • 外エンボス加工
  • 片エンボス加工
  • 両面エンボス加工

それでは、各加工の特徴について詳しく見ていきましょう。

内エンボス加工の特徴

内エンボス加工とは、手袋の内側に細かい凹凸をつける加工のことで、直接肌に触れる面に施されています。この凹凸によって手袋内部の通気性が保たれ、汗によるべたつきを軽減し、快適な装着感が得られます。

また、手袋を脱ぐときにもスムーズに外せるため、作業効率の向上にもつながります。特に長時間の作業や湿気の多い環境での使用に適しています。

外エンボス加工の特徴

外エンボス加工は、手袋の外側に凹凸を施す加工で、すべりにくくするための工夫がされています。表面に細かい凹凸があることで、作業時の安定感が増します。

さらに、米飯などの食品が手袋に付着しにくく、食品加工や調理作業に適した仕様です。滑りやすいものを扱うシーンでも、扱いやすさと衛生面の両立が期待できます。

片エンボス加工の特徴

片エンボス加工は、手袋の左右それぞれに片面だけ凹凸を施した仕様です。たとえば、左手の手のひら側にエンボス加工がある場合、右手では手の甲側に加工が施される形になります。

この構造により、手袋を製造する際に効率よく加工できるだけでなく、ある程度のグリップ性も確保されます。全面エンボスよりも凹凸が少ないため、適度な滑り止め効果と、手袋の柔らかさを両立させたい作業に向いています。

両面エンボス加工の特徴

両面エンボス加工は、手袋の内側と外側の両方に凹凸を施した仕様です。内エンボス加工により手袋内部のベタつきを軽減し、着脱をスムーズにする一方で、外エンボス加工によって滑りにくく、食品などもくっつきにくくなります。

蒸れにくさとグリップ性を兼ね備えており、快適さと作業性の両立が求められる現場に適しています。

素材やエンボス加工以外で使い捨て手袋を選ぶポイント

使い捨て手袋を選ぶ際には、素材やエンボス加工の有無だけでなく、使い心地や作業効率に関わるその他の要素にも注目することが大切です。

パウダーの有無や手袋のサイズ、厚みや長さといった点も、使用目的や作業環境に応じて選ぶポイントになります。ここでは、素材やエンボス加工以外で使い捨て手袋を選ぶポイントについて解説します。

パウダーの有無

使い捨て手袋には、着脱を補助するための加工として「パウダーなし」と「パウダーあり」の2種類があります。

パウダーなしの手袋は、粉の代わりに塩素処理やポリマー加工などを施し、手がスムーズに入るようにしています。一方、パウダーありの手袋は、トウモロコシ由来のデンプンなどが内側に付着しており、手が湿っていても着脱がしやすいという利点があります。

ただし、使用時にパウダーが空気中に舞い上がることがあり、アレルギー反応や呼吸器への影響を引き起こす可能があるため、特に粉の飛散が衛生面に影響するおそれがある医療現場や食品関連の作業では、パウダーなしタイプが好まれる傾向にあります。

このような観点からも厚生労働省は「パウダーが付いていない医療用手袋への供給切替えを促します」と2016年12月に発表いたしました。ハッピーハンズでは、2016年のこの発表以降、パウダーなしの手袋のみを販売しています。

手袋のサイズ

使い捨て手袋を選ぶ際は、まず自分の手のひらの周囲(親指を除いた4本の指の付け根の周囲)を測定し、サイズの目安を把握しておきましょう。

一般的には「XS~L」の展開が多く、素材によって伸縮性や圧迫感が異なるため、同じサイズでも着用感が変わることがあります。

ハッピーハンズではすべてのグローブのサンプルを用意いたしております。お気軽にお問合せください。

手袋の厚み

使い捨て手袋には薄手・厚手のタイプがあり、薄手は細かい作業向き、厚手はしっかり保護したい場合に適しています。

使い捨て手袋の厚みは弊社のカタログではMサイズを基準にした1枚の厚さから厚みを3段階に分けています。「厚手」「レギュラータイプ」「薄手」。またカタログには、指先の厚さを数値で記載しております。

厚みに関してもしっかりと使用感を把握した上での購入を推奨しているため、サンプルを取り寄せて着用し、適した厚みのものを購入するようにしましょう。

手袋の長さ

使い捨て手袋の標準的な長さは24cmですが、手首までしっかり覆えるロングタイプもあり、衛生面での保護性が高まります。

ロングタイプの使い捨て手袋は、袖口からの水や汚れの侵入を防ぎ、より高い保護性能が期待できます。

ハッピーハンズでは、29cm㎝で肘までの長さがある使い捨て手袋をご用意しております。気になる方はお気軽にお問い合わせください。

作業内容や使用環境に合った使い捨て手袋を選ぼう

使い捨て手袋には、ニトリルをはじめ多様な素材や加工があり、それぞれに適した用途や特性があります。作業内容や使用環境、ラテックスアレルギーの有無を踏まえ、素材・サイズ・厚み・パウダーの有無などを総合的に選びましょう。

今回ご紹介した選び方を参考にぜひサンプルをお取り寄せして実際に着用した上で購入するようにしましょう。

グローブの商品一覧はこちら

【グローブの商品一覧】をご確認いただく方へ

グローブ商品一覧の上部にて「ラテックス」「ニトリル」など商品を絞って調べられるリンクがありますので、ぜひご活用ください。

また、サイト内ではグローブの1ページ目の写真にて素材の記載があります。写真左上に四角いアイコンで「ラテックス(紫のアイコン)」「ニトリル(グリーンのアイコン)」と表記しておりますのでご参考になさってください。