介護の現場で欠かせない使い捨てグローブは、作業の種類や環境に合わせて適切なものを選ぶことが重要です。しかし、一口に「介護用グローブ」といっても、素材や形状、機能にはさまざまな違いがあります。
本記事では、介護用グローブの種類やそれぞれの特徴、選び方のポイントを分かりやすく解説します。最適なグローブを選ぶために、ぜひ参考にしてください。

著者紹介
歯科医院・病院用衛生用品を1つから購入できる通販サイト「HAPPY HANDS(ハッピーハンズ)」です。歯科医院などで使用される使い捨て手袋やマスク、その他の衛生用品をさまざま販売しています。
今回は、介護用グローブについて解説します。グローブと言っても色々なタイプがあるため、選び方などを参考に適切なグローブを選んでみてください。
介護用グローブの必要性

以前は、介護の現場でグローブやマスクを着用せずにケアを行う方も多かったかもしれません。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、感染対策としてのマスクやグローブの着用が改めて注目されるようになりました。
感染対策としてのグローブやマスクの着用は、以下の3つの基本原則に基づいています。
- 病原体を持ち込まない
- 病原体を持ち出さない
- 病原体を広げない
これらを徹底することで、感染経路を遮断し感染拡大を防ぐことが可能です。感染症は、病原体がさまざまな感染経路を通じて広がります。それぞれの感染経路の特徴を以下にまとめます。
介護現場において、これらの感染経路を遮断するためにグローブやマスクの着用は欠かせません。特にグローブは、利用者と直接接触する際に感染源となるリスクを軽減する効果があります。
介護用グローブを着用すべき場面
介護用グローブは、標準予防策(スタンダード・プリコーション)や接触感染予防策の一環として、最も一般的で効果的な防護用具です。感染症のリスクを低減するため、以下のような場面では確実にグローブを着用する必要があります。
- 血液や体液に触れる場合
- 嘔吐物や排泄物に触れる場合
- 分泌物の処理を行う場合
血液や体液、嘔吐物、排泄物などに直接触れる場合はもちろん、それらに触れる可能性がある場合にも、必ず着用することで、感染防止対策を徹底しましょう。これにより、利用者だけでなく介護者自身の安全も守ることができます。
介護現場でグローブ着用時にしてはいけないこと
介護現場でグローブを使用する際には、感染防止の効果を最大限に発揮するため、以下の点に注意して使用する必要があります。
- 汚染したグローブのまま別の作業を続けること
- 使用済みグローブで施設内の物に触れること
- グローブ着用を理由に手洗いを省略すること
まず、使用したグローブを着けたまま、他のケアを続けたり、別の入所者のケアを行ったりしてはいけません。また、作業後にグローブを外さず、施設内のドアノブや備品などに触れるのは避けましょう。
同じグローブを使い回すことも厳禁です。そのグローブ着脱後は手洗いをきちんと行うことが必須です。手洗いを省略したり、簡略化することは感染拡大のリスクを高めるので注意しましょう。
介護用として使われる主なグローブ
介護現場ではさまざまな使い捨てグローブが使われていますが、それぞれの素材や特性によって適した用途が異なります。ここでは、介護用として代表的なグローブの特徴や用途について詳しくご紹介します。
ニトリル手袋|耐久性が高く細かい作業に最適
ニトリル手袋は、強度に優れ、引っ張り・突き刺しに強いという特徴を持つ使い捨てグローブです。衛生管理が求められる場面が多い介護現場で広く使用されており、特に配膳や食事の準備、誤飲を防ぐための食事サポート時に活躍します。
また、ニトリル手袋は、清掃や排泄介助、入浴介助といった水を扱う作業でも役立ちます。さらに薬品耐性が高いため、洗剤を使用する場面でも安心して使用できます。
ラテックスグローブを使用する際には、装着する者だけではなく、介護される側にもアレルゲンがないことで、アレルギーが回避できますが、ニトリル手袋は「合成ゴム」または「人工ゴム」素材で作られているため、ラテックスアレルギーのリスクを軽減し、長時間の使用にも適している点が大きなメリットです。
PVC塩化ビニール手袋|清掃や汚物処理に最適
介護現場では、作業内容に応じてグローブの選び方が変わります。特に、排せつの介助や清掃では、手先の感触が細かく伝わるグローブよりも、排せつ物の感触が伝わりにくいグローブが求められることが多いです。
PVC塩化ビニール手袋は、適度な厚みと硬さがあり、対象物の感触をやわらげるため、こうした場面での使用に適しています。余計な不快感を抑えながら、清掃に集中できる点が特徴です。また、油や薬品に強い性質を持ち、多くの介護作業で役立ちます。
ただし、突き刺しに対する耐久性は低いため、力を入れる作業や鋭利な物を扱う際には注意が必要です。一方で、食品衛生法に適合していないため、食事の準備や食品を扱う作業には使用できません。こうした制約を理解した上で適切に使えば、PVC塩化ビニール手袋は排せつ介助や清掃の現場でとても頼りになる選択肢です。
TPEエラストマー手袋|PVCの代用品
TPEエラストマー手袋は、介護現場では、入浴介助や清掃などの場面で使用されることの多い使い捨てグローブです。TPEとは、ゴムとプラスチックを組み合わせた素材で、適度なフィット感と伸縮性を持っています。耐久性や伸縮性はそこまで高くないものの、手軽に使えるのが特徴です。
介護用グローブの選び方
介護現場で使用するグローブは、作業内容に合わせて選ぶことが大切です。素材やサイズ、長さなどの違いによって、使いやすさや安全性が大きく変わります。
また、滑り止め加工やパウダーの有無といった細かな仕様も重要なポイントです。ここでは、介護用グローブを選ぶ際に押さえておきたいポイントを詳しく解説します。
パウダーの有無で選ぶ
介護用の使い捨てグローブを選ぶ際には、パウダーの有無を確認しましょう。グローブの内側にパウダーが付いている使い捨てグローブは、水や汗で手が濡れていてもグローブをスムーズに着脱できるメリットがあります。
一方で、人によってはパウダーが刺激となって痒みが生じたり、肌が乾燥する可能性があるため注意が必要です。使い捨てグローブに使用されるパウダーには、コーンスターチを原料とした粉末が用いられているのですが、安全性の問題から2016年12月に「パウダーが付いていない医療用手袋への供給切り替えを促します」と厚生労働省より発表され、パウダーフリーの手袋の使用が推奨されています。ハッピーハンズでは、この発表以降、パウダーなしのグローブのみを販売しています。
滑り止め加工やエンボス加工の有無で選ぶ
介護用グローブを選ぶときは、「滑り止め加工」や「エンボス加工」があるかどうかをチェックしましょう。滑り止め加工がついていると、器具や物をしっかりと掴むことができ、作業がスムーズに進みます。特に水や油が関係する場面では、滑りにくいグローブが役立ちます。
エンボス加工とは、グローブの表面に凹凸をつけた加工のことです。外側にエンボス加工があると、例えばご飯粒や水滴がグローブにくっつきにくくなり、作業がしやすくなります。また、滑り止め効果もあるので、物を扱う際の安心感が高まります。
内側にエンボス加工がある場合は、手が汗で濡れていてもグローブが簡単に脱ぎ着できるようになります。さらに、汗によるベタつきも抑えられるので、長時間使っても快適です。エンボス加工にはさまざまな種類があり、グローブ全体に加工があるものは左右どちらの手でも使えます。一方、片側だけ加工されている場合は右手用・左手用が分かれているので注意が必要です。
グローブのサイズで選ぶ
介護用グローブを選ぶ際は、サイズや長さが作業に合っているかを確認することが大切です。グローブのサイズは、XSからLと幅広く揃っています。グローブのサイズを確認する際は、まず自分の手のサイズを測りましょう。
手をまっすぐ広げた状態で、利き手の手のひらの一番広い部分(親指の付け根の少し下から小指の付け根あたり)を測ります。メジャーや定規を使用し、幅をセンチメートル(cm)単位で記録してください。
測った手の幅をグローブのサイズと比較して、最適なものを選んでください。ハッピーハンズではすべてのグローブのサンプルを用意いたしております。お気軽にお問合せください。
グローブの長さで選ぶ
介護用グローブを選ぶ際は、作業内容や環境に応じて、適切な長さのグローブを選ぶことも大切です。
一般的な手首までの長さ(24cm)のグローブは日常的な介護作業に向いています。排泄物の処理や清掃、入浴介助など、水や薬品、油を扱う場面では肘や肩まで覆えるロングタイプ(最大60cm程度)もあると便利です。ロングタイプのグローブは袖口からの水や汚れの侵入を防ぐため、作業時の安心感が得られます。
ハッピーハンズでは、肘までの長さの29cmブラックグローブをご用意しております。
介護用使い捨てグローブの正しい外し方
介護用使い捨てグローブは、以下の手順で外します。
- 汚染したグローブが手首に触れないよう注意し、グローブの手首部分を掴んで引き上げます
- 外したグローブを、まだ着けているグローブの手で汚染面が内側になるように握ります
- グローブを外した手の指を、もう片方のグローブと手首の間に差し込みます
- 指を滑らせるように引き上げ、汚染面が内側になるようにグローブを外します
- 2枚のグローブをまとめ、汚染面が外に出ないよう注意して適切に廃棄します
- グローブを捨てた後は、必ず手を洗いましょう。
着用中のグローブは、肌に直接触れていない外側を「不潔」とみなします。グローブを脱ぐ際には、「清潔」と「不潔」を明確に区別し、不潔な外側が手や肌に触れないように注意しましょう。特に、グローブの内側を「清潔」と考え、素手で触れることがないよう徹底することが重要です。
介護用グローブに関する注意事項
介護現場でグローブを外した際は、手指消毒を必ず行いましょう。特に、目に見える汚れが付着している場合は、液体石けんと流水を使ってしっかり手洗いをすることが重要です。
また、グローブの素材によっては、手荒れを悪化させたり、アレルギー反応を引き起こす可能性があります。そのため、使用するグローブを選ぶ際には、材質やパウダーの有無を事前に確認しましょう。
用途や作業環境に適した介護用グローブを選ぼう
介護の現場で使われるグローブは、用途や作業環境に応じて適切に選ぶことが大切です。素材やサイズ、加工の有無など、それぞれの特徴を理解しておくことで、感染リスクを軽減し、効率的な作業が可能になります。
本記事を参考に、利用者の安全と介護者の快適さを両立できるグローブを選び、より良い介護環境を目指してください。
グローブ商品一覧の上部にて「ラテックス」「ニトリル」など商品を絞って調べられるリンクがありますので、ぜひご活用ください。
また、サイト内ではグローブの1ページ目の写真にて素材の記載があります。写真左上に四角いアイコンで「ラテックス(紫のアイコン)」「ニトリル(グリーンのアイコン)」と表記しておりますのでご参考になさってください。